ISO規格の改正動向

ISO9001、14001等の規格の改正動向についてご紹介します。
 ・ISO9001⇒2000年に大幅な改正が行われた後、2008年に追補改正版が発行。
         2012年3月の定期見直しの結果“改正”が決定されたところだが、改正版の発行はしばらく先の模様。
 ・ISO1400⇒2004年に改正され2015年の発行を目指し現在改正作業が進められている。
これらマネジメントシステム規格の改正において注目すべき動向として、“マネジメントシステム規格の整合化”があります。2006年から2011年にかけてISOでは各種マネジメントシステム規格の整合性を確保するための議論が行われ、2012年2月に『マネジメントシステム規格の共通要素』が承認されました。今後、制定/改正される全てのISOマネジメントシステム規格が原則としてこの“共通要素”を採用して開発することが義務付けられました。
共有要素を採用したマネジメントシステム規格と既存のマネジメントシステム規格と比較すると、いくつかの事項が新しくなっています。組織の内部・外部環境の把握の追加などがあります。
最近では多くの組織で「ISO9001とISO14001」や「ISO14001とOHSAS18001」等のシステム統合化に取り組まれています。『マネジメントシステム規格の共通要素』をシステム統合化やシステム改善のためのマニュアル改訂の参考にして、最新の考え方を取り入れたより有効なシステムを構築していただければと思います。

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  ISOマネジメントシステムを組織に浸透させる方法

ISO9001やISO14001認証を取得して以降、マネジメントシステムの社内への浸透や活用に苦慮されている担当者の方が多くおられます。
共通する問題点として次が挙げられます。  
 1) 従業員各人の意識が低い
 2) 内部監査があまり機能していない
 3) ISO活動を本業に落とし込むことができない  
それぞれが相互に関係する問題ですが、今回は個々の問題の解消方法を提案してみたいと思います。
まず関心の低い従業員をいかにすれば巻き込めるかですが、「顧客から日々寄せられる製品に係る指摘や意見を確実に受け付け分析し、得られた情報を基に生産方法の改善や品質検査体制の見直しを行わないことにより重大なクレームにつながる(ISO9001)」「製品に含有され有害物質への対応など環境への配慮を誤れば製品回収など莫大な支出を余儀なくされる(ISO14001)」など事業に関するリスクを低減させるためのマネジメントが必要であるということを具体的に理解させることが大切です。
その他の具体的な方策として下記が挙げられます。多くが地道な取り組みですが、全員が同じ活動に参加することで意思統一を図ります。
 ・全員が共有できる目標を持つ
 ・問題点を現場に話し、改善策を出してもらう。社内のイントラネットなどを活用したり従業員を集めて直接話を聞くなど、今まで以上に
  積極的に他部門に働きかけ、かかわっていく
 ・表彰制度の導入
 ・開発部門に展示会に出て顧客や消費者とコミュニケーションを取ってもらう
 ・環境報告書に社員に多く登場してもらう  
 ・環境意識向上の一環として、事業所周辺の清掃を実施する
次に内部監査の実効性を高める方策ですが、監査員が現場でどれだけ問題点に気付けるかで実効性に差が生じます。これは監査員の力量によるところが大きいと言わざるを得ません。多くの企業が1〜2日間の内部監査員研修を修了した者を内部監査員として認定していますが、この研修はISOの要求事項への適合性を判断する知識の習得が主であり、自社の問題点を見つけ出す力量までは習得できません。 問題点を見つけ出す嗅覚を養い、監査の際の見落としを減らせる監査員を養成することが必要です。
具体的な方策として下記が挙げられます。
 ・過去に実際に特定された不適合等を課題にした演習や実地演習を多く含む研修を行う
 ・ 監査員の認定試験で筆記試験とともに実技試験も行う
 ・社外の専門家を監査員として活用し内部監査の実効性を高めるとともに、社員監査員のOJTの場とする
最後に、本業との壁を乗り越えるには、全社方針や経営計画にISO活動を落とし込むことが重要であり、そのためにはまずは経営者の耳に届く情報を提供する必要があります。
 ・リスク面からアプローチし、どの部分にどの程度の対策を打てばいいか判断できる情報を提供する
  例えば、自社の環境負荷量が他社の環境報告書等を参考に相対的に突出して高ければ、経営リスクと判断する
 ・但し、リスクを並べたてたり、抽象論を語るのではなく、リスクに取り組むことによって得られる利益を具体的に説明する
  例えば、廃棄物の削減も廃棄量を製造ロスと位置づけ、その製造に係る人件費やエネルギー費、原材料費を加味したロス総額を提示するなど
環境マネジメントにおいては、省資源と省エネを進めればコスト削減につながり、会社の体質は強くなります。環境と利益が表裏一体であることを認識して頂きたい。
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事業継続のためのマネジメントシステム(BS25999-2)
        
(BCMS:Business Continuity Management System 

2008年9月中旬以降の金融危機、世界経済の減速に伴い、日本経済も景気後退局面に入り企業が生き抜くための事業戦略がますます重要性になっています。このような状況の中で、事業の縮小を防ぎ継続していくために出来得る手だてをとることが必要なのはいうまでもありません。事業継続に関連し、2008年には新型インフルエンザのニュースが大きな話題となり、新型インフルエンザ流行時の業務運営体制の確立を進めている企業も紹介されていました。
ここ2、3年、各企業で導入が進んでいるマネジメントシステムに『事業継続マネジメントシステム』があります。中小企業においては『事業継続計画』又は『緊急時企業存続計画』の策定という形で取り組まれているものです。事業継続マネジメントシステム(以下、BCMSという)とは、組織にとって期待されない事象が発生した際に、確実に事業を継続するための体系的な管理の仕組みを指します。この期待されない事象には、地震災害、風水害、火災、停電、集団感染など様々な緊急事態が想定されます。
事業継続マネジメントは、組織として何らかの緊急事態による事業中断が発生しても、あらかじめ合意された時間内に合意されたレベルにまで組織の操業を復旧することであり、そのために経営資源の優先的投入分野を明確にし、経営レベルで判断し、決定し行動することです。
BCMSで中心になるのがインシデントマネジメント計画(IMP)と事業継続計画(BCP)の策定です。一般的には緊急事態の発生後の初動対応・緊急対応を定めたものをIMP とし、一定時間経過後に中断した業務を再開する際の行動計画を定めたものをBCPとして策定されています。これまでの防災計画は、従業員の生命と企業の財産を守ることが主な目的でした。IMP、BCPは従業員の生命と会社の財産を確保した上で、事業の継続・早期復旧に努めることで、緊急事態を生き抜くための計画と言えます。
IMP・BCPを策定する上でのポイントは下記の通りです。
 @ 緊急時において優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
 A 緊急時において中核事業を普及する目標時間を定めておく
 B 中核事業や目標復旧時間について顧客等取引先とあらかじめ協議しておく
 C 事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
 D 全ての従業員とIMP・BCPの方針や内容について話し合っておく
中小企業向けのBCPの策定については中小企業庁によりセミナーも多く開催され、策定を支援するHPも公開され、積極的な推進が図られています。またBCMS の国際規格としてBS25999-2 が2007年に発行され国内外で認証取得がスタートしています。日本国内においてもISO27001の認定機関の(財)日本情報処理開発協会によるBS25999-2 にもとづく審査制度の実証運用がスタートし2009年には正式運用される予定です。
現在、大企業の多くがBCMSの導入に着手しており、取引先への導入要請も広がるものと考えられます。BCMSへの投資は、多くの場合その効果は見えにくい地道な活動です。しかし景気後退局面の今こそ企業経営を強化するためのBCMSを導入し、後顧の憂いを断つ事業戦略を立てて頂きたい。
 

 
経営ビジョンを実現する事業計画書の策定

貴社では事業計画書を策定されているだろうか。その策定された計画書は経営や事業の遂行に役立っているだろうか。
資金調達のための外部への説明や、事業協力者、事業提携をしていく会社への説明のため事業計画書を策定するケースは昨今多いと思われるが事業計画書は作り方、使い方によっては非常に有効な経営ツールになり得る。事業計画書は一言でいうならば経営者の頭の中にある構想を具現化したものである。会社のビジョンに沿って、販売計画、人員計画、資金計画などを立て、会社が将来(3 〜5年程度)どのようになっているかを示すものであり、またそのためにどのようにすべきかという業務活動の指針を示すものである。
事業計画書を策定する主なメリットは下記の通りである。
 @事業開始前に、様々な事業展開を想定し、実際の事業上のリスクを極力回避する手段やリスクに遭遇したときの対処策を
  あらかじめ考え、リスクを最小限に抑える手段を講じる機会が得られる
 A事業計画書をもとに、実際に事業を遂行しながら、計画どおりに進んでいるかを確認し、もし違いがあれば、それはなぜかを考える
  考えた結果、当初は気づかなかった最良の方法を見つけることができればすぐに軌道修正を行うことができる
 B事業計画書を各部門・階層に展開することにより、経営者から従業員まで全社一丸となった経営を行うことができる
事業は偶然成功することは絶対なく、経営者が偶然成功したと思っていても、事業展開しているプロセスに必ず成功要因がある。より確実な成功を得るために事業計画に沿って意識的に経営戦略を実行していくべきではないだろうか。
事業計画書を策定する場合、単に過去の業績の推移から予想して策定しても上述のメリットは得られない。計画対象期の事業環境を予測し、最適な事業戦略を選択し、事業展開をしていくときの財務シミュレーションを行い、その結果を事業計画書に反映しなければならない。
事業計画書の策定に当たっては、概ね次のポイントを押さえる必要がある。
 @成功指標にもなる将来の具体的なビジョン、日々の事業活動の指針となる目標を明確にする
 Aターゲット顧客、顧客ニーズ、独自技術の内容が盛り込まれた製品コンセプトを儲かる仕組み
  (ビジネスモデル)として説明する
 B市場分析、競合分析等を行い上記の達成可能性の根拠を示す
 C事業リスクとそれに対するリスクマネジメントを説明する
 D販売計画、人員計画、資金計画等の数値部分で事業計画の実現性を説明する
また事業計画を遂行していくには、点検、見直しするためのPDCAサイクルを応用した目標管理や予算管理システムが不可欠である。
経営戦略とは、自社がやるべきこと、やるべきでないことを明確に決め、進むべき方向を目指して経営資源を集中していくことといえる。そのためのシナリオづくりが事業計画書の策定である。
事業計画書を策定し、事業展開の際に有効利用し、経営ビジョンをぜひ実現して頂きたい。
 

 
進む!GHG国内排出量取引制度

【国内排出量取引制度について】
本制度は、地球温暖化対策の一環として市場メカニズムの活用により企業の自主的・積極的な努力を促し効率的かつ確実にGHG(温室効果ガス:Green House Gases)排出量の削減を達成することを目指すものです。
排出量取引制度とは、排出枠が交付されている企業の間で排出枠の一部の移転又は取得を認めるものです。下図に示したように一般にGHG排出量の削減に関して単位削減量当たりの対策コスト(削減対策単価)は企業によって差があります。そこで削減対策単価が高い企業が削減対策単価が低い企業から排出枠を購入することにより、全体として最小の費用で排出削減目標を達成することが可能となります。同時に、取引した双方も排出量取引が無い場合に比べ経済的効率性が高まります。このように排出量取引は需要と供給によって合理的な価格が決まり、全体として最小の費用で排出削減を実現する市場メカニズムを活用した制度です。経済産業省、環境省各々で国内排出量取引制度の試行運用が積極的に進められています。


 
   
 


  化学物質対策の今後のポイント−2007年6月1日のREACHのスタートを考える

REACH (リーチ)は、2007年6月1日から新しくスタートした、EUにおける化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限の制度です。世界的に見ても非常に斬新な取り組みで、特に一番のポイントとして挙げられるのは、既存化学物質・新規化学物質という従来の世界の概念であった枠組みをいわば撤廃して、既存化学物質、新規化学物質ともにほぼ同一の管理制度を導入するところです。
ここで区分されるEUの化学物質は、既存化学物質が10万物質以上、新規化学物質は3,800物質以上と大きな差があります。新規化学物質は、上市する前に試験することが求められますが、既存化学物質にはそのような規定がありません。このため、既存化学物質の性状や用途に関しては、いくらかの情報はあるものの、それらをリスク評価し管理するための情報は十分ではありませんでした。
REACHの主な特徴は以下の通りです。
 ・製造者と輸入者は、年間1トンを超えて製造又は輸入するあらゆる化学物質について登録が義務付けられる。(自然に存在する鉱物や金属、   食品中の物質、医薬品は対象外)・成形品に含まれる化学物質の有無(濃度)や用途についても、情報の把握をしなければならない。
 ・事業者がリスク評価を行い、リスク管理方法を提案しなければならない
 ・サプライチェーンでの情報伝達が強化される。(成形品に含まれる高懸念物質の情報を川下事業者に提供、川下の使用者は用途・ばく露情報を  川上の供給者に提供)
このため、EUに対して、化学物質のみならず、自動車、電機製品などを供給している日本の事業者もREACHへの対応が求められるようになっています。特に、今回のREACHへの対応では、化学物質や部品の製造から一般消費者向けの製品に使用される段階まで、また大企業のみならず、中小企業も互いに連携・協力しながら取り組まなければならない点はいっそう大変と考えられます。
日本の環境省においても、他の先進国と同様の管理スキームをこれからつくっていく必要があるとの見解をもっており、今年の化管法(PRTR法)の見直し、2009年に予定される化学物質審査規正法の見直しにREACHがかなり影響を与えるものと予測されます。
REACHの公布を受け、既に「情報が入手可能な原材料のみ調達する」との方針を持つ国内の事業者もあります。今後、化学物質に関する情報の不足により、使用者への情報提供や監督機関への登録ができないために製品の販売ができないといった状況におちいることも予測されます。化学物質に関する情報の有無が経営リスクの一つとなります。
製造業の事業者においては、これまでにも増して原材料に含有される化学物質に関する情報が必要です。企業の生き残りと成長の基礎として、情報の入手手順、顧客への情報の提供手順を含めた化学物質管理体制の確立が強く求められます 弊社では、既存ISO9001及びISO14001に沿った化学物質管理体制の構築指導サービスを実施しております。関心をお持ちの方はお気軽にお問い合わせ下さい。
 


“食の安全・安心”と“リスクマネジメント”−食品安全マネジメントシステム規格 ISO22000

牛海綿状脳症(BSE)、遺伝子組換え食品、鳥インフルエンザ、食品中の残留農薬、O−157、ノロウイルス等々、食の安全性に関するニュースを目にしない日はないのではないかと感じられるほど、近年食品の安全性に対する国民の関心は高い。また、経営的にも不二家の期限切れ原材料使用問題、雪印乳業の集団食中毒など事業の継続性に甚大な影響を与える事態となったことは記憶に新しいところである。これらの事件では専門知識の無い者からしても非常識と思われるような品質管理の状況が明らかになったが、それにもましてこのような状況を放置するに至った経営陣のリスクマネジメントの欠如に驚きを覚える。
食品の安全性を保証するためのシステムとしてHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)がよく知られている。“危害要因分析と重点管理点管理方式”と訳され、日本では“総合衛生管理製造過程”の任意の承認制度として、食品衛生法で定められ、厚生労働省の所管で審査・承認業務が行われている。HACCPは食品の製造・流通・販売等の工程におけるハザードを予測して、危害の発生を防止するための手法としては大変優れているが、そのシステムを確実に実行するためのマネジメントの面でやや不十分な点であった。この点をカバーするために、HACCPに品質マネジメントシステム規格であるISO9001の考え方を取り入れ、2005年に食品安全マネジメントシステム規格ISO22000が発行された。
国内では既に洋菓子の製造・販売で有名なアンリ・シャルパンティエ社等が認証を取得されている。 ISO22000規格が対象とする範囲は大変広く“すべての食品サプライチェーン”と定義されている。農作物(穀物)製造業者、飼料製造業者、第一次食品加工業者、食品加工業者、第二次食品加工業者、卸売業者、小売業者、農薬・肥料・獣医用薬品製造業者、原料及び添加物製造のための食品チェーン、輸送・保管業者、設備供給・施工業者、洗剤製造業者、包装材料製造業者、サービス供給業者、食品サプライチェーンを支えるその他の業者などが認証の対象業者となり得る。
ISO22000規格の主要部分はHACCPの基本である7原則12手順※をいかに行うかで占められており、食品の安全に特化したISO9001規格と理解するとよい。HACCPによるリスク管理をISO9001手法でマネジメントするリスクマネジメントシステムともいえる。
食の安全性はサプライチェーンの一部が破綻しても確保できない。しかし、私たちが身近に接する店舗などを注意深く観察すると、食の安全性を脅かす食品管理の状況を目にすることも少なくない。このような現状を見るにつけ、食品産業に関わるすべての企業が、経営戦略上の重要な柱としてISO22000に代表される食品安全に関するリスクマネジメントシステムを確立することを強く求めたい。
 ※【HACCP原則適用のための12手順】  
@専門チームの編成
A製品についての記述
B使用についての確認
C製造工程一覧図、施設の図面および標準作業手順書の作成
D現場確認
E危害分析(原則1)
F重要管理点の決定(原則2)
G管理基準の設定(原則3)
Hモニタリング方法の設定(原則4)
I改善措置の設定(原則5)
J検証方法の設定(原則6)
K記録の維持管理(原則7)
 


  取得が急増する情報セキュリティマネジメントシステム規格−ISO27001

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)のISO規格であるJISQ27001が昨年の5月20日に発行されISO27001の認証取得がスタートした。日本における情報セキュリティマネジメントシステムの認証制度は、これまでほぼ同じ内容ながら(財)日本情報処理開発協会のISMS認証基準による認証制度と英国規格のBS7799-2による認証制度と2種類あり分かりづらい面があったが、今後は各々ISO27001へ移行される。規格の一本化及びISO化に伴い社会の認知度も上がり、ISO27001認証取得へのニーズが高まると考えられる。
前回のコラムで採り上げた個人情報保護マネジメントシステムの認証制度であるプライバシーマーク(JISQ15001)の認定事業者は、平成18年8月現在で5,000社を超え、ISMSの認証取得事業者は平成18年12月12日現在で約1,900社に上る。
個人情報保護法の施行によってプライバシーマークの取得が激増し、注目が個人情報保護に向きがちであるが、企業が取り扱う情報は個人情報だけ
ではない。
@個人情報    :従業員情報、個人客情報
A営業情報    :取引情報、販売情報、原価情報、契約情報
B知的財産情報  :戦略情報、研究開発情報、特許申請予定の情報
C会計・経営情報 :財務情報
D法的要求情報  :許可、届出情報、測定記録、処理実績
Eその他事業用情報:社内規定、運用記録
これらの情報は企業の重要な資産であり、情報が利用できない事態や情報漏洩などが発生すると、事業活動を危うくする恐れがある。
中小企業の情報セキュリティについては、これまで特定の業種を除いて、従業員への道義的、倫理的な指導ですませ、実践的な取り組みが講じられていなかった。情報は、紙に書かれていたり電子的に書かれていたり頭の中にあるなど色々な形で存在しており、管理策も人の行動に対する管理、コンピューター等の機器に対する管理、建屋に対する管理、供給者に対する管理など多岐に渡っている。よって全ての側面に対応できる情報セキュリティ対策を導入することの難しさは容易に想像できる。
しかし、ISO9001、14001を認証取得された組織の方であれば、規格要求事項にのっとってシステムを構築することにより、比較的短期間に合理的なマネジメントシステムの導入が可能なことを理解して頂いているであろう。情報セキュリティ対策を体系的に導入し、運用状況に応じて改善できるシステムを構築するためのガイドラインとして、ISO27001は有効なツールである。
ISO27001では情報の機密性、完全性、可用性を維持することを求めている。機密性は“情報が漏れない”ようにすること、完全性は“情報に間違いがなく、改ざんされない”ようにすること、可用性は“許可を受けている人なら必要なときにその情報がいつでも利用できる”ようにすることである。御社の機密情報に関しどの程度、機密性、完全性、可用性が維持されているだろうか。これらが維持されない場合のダメージはどの程度であろうか、是非確認して頂きたい。
プライバシーマークの取得ブームを契機として、多くの企業が個人情報を含む情報セキュリティに関心を寄せ、取引先に対しても情報セキュリティの確立を求め始めている。
著しく発展する情報化社会の中で情報セキュリティマネジメントシステムの導入は決して早すぎることはない。
 


  私の個人情報も流出しました!企業経営における機密情報の保護

インタネットの普及に伴い、個人情報の漏洩事件がニュースに取り上げられることが多くなった。私の加入する大手プロバイダーにおいても今年の6月に約400万人分の個人情報の流出が明らかになった。流出した情報は、名前、住所、電話番号、性別、生年月日、メールアドレスである。幸い流出した情報が3年前のもので、今のところ特に実害は発生していないが、プロバイダーに対する信用は大きく低下した。
2005年4月1日に個人情報保護法が完全施行されたが、この法律は、個人の権利を尊重して適切に取扱うことを第一義とし、その上で経済活動を行うように企業に要求している。 
「当社では個人情報の収集はしていないので関係ない」と考えておられる方もおられるかもしれないが、法律が対象とする個人情報には、従業員の情報も含まれさらに営業部門が作成する契約書や見積書に書かれている顧客の業務担当者、代表者の名前や連絡先等も該当する。法律の対象となる事業者は“識別される特定の個人の数”が5千件を超える事業者であり、取引先の個人情報などを含めると該当する可能性は貴社においてもかなり高いのではないだろうか。
一般消費者を対象とする個人情報の取り扱いは、IT関連企業のみでなく医療機関や金融機関、教育機関、また通販や会員特典などを設けている小売店も行っている。またこれらの事業者の下請けとして個人情報を取り扱う事業者も含めると非常に多くの企業が関連している。 
 前述のプロバイダーから情報を外部に持ち出したのは、システム開発業務の委託先の取引会社社員であった。
個人情報保護法において企業が行うことについておよそ次のように規定している。
個人情報を何のために取得するかを「利用目的」の文書の中で特定して公表、または通知し(第15条)、
その利用目的に従って個人情報を適正に取得し(第17条)、利用目的に従って取り扱い(第16条)、
事故など招かないように安全管理する(第20条)。社内で従業者が適正に個人情報を取り扱うように監督し(第21条)、
外部に業務委託する際は委託先を監督する(第22条)。また個人情報の表す本人の同意なく第三者に提供しない(第23条)。
さらに、個人の権利を尊重するために、個人情報の表す本人の要請によって、どのような項目のものを保有しているかを公表し(第24条)、
情報の中身を開示し(第25条)、間違いを指摘されたら訂正し(26条)、使うなと言われたら利用を停止する(第27条)。
法律違反には罰則が科せられるばかりでなく、中小企業であれば個人情報の流出事件に伴う顧客の減少や損害賠償により、会社の倒産にまで及ぶことも十分あり得ることである。
このようなリスクを低減するためにも個人情報保護のためのマネジメントシステムを導入することが必要である。個人情報保護マネジメントシステムはJISQ15001として規格化されており、JISQ15001の審査制度が一般的にはプライバシーマーク制度として認知されている。JISQ15001は、9001や14001と同様のPDCAモデルで構成されており、9001や14001の取得企業は理解しやすいであろう。
現在プライバシーマークの取得は、個人情報が含まれた書類の廃棄を受託する古紙回収業者やパソコンの廃棄を受託する専門業者にまで及んでいる。企業が取り扱う機密情報の保護という観点からはISO27001情報セキュリティマネジメントシステム規格がある。ISO27001は、組織において保護すべき機密情報のためのマネジメントシステム規格で、個人情報に限定されるものではない。
 自社独自の技術情報や知的所有権情報の漏洩リスクが高い組織はISO27001の導入をお勧めしたい。現在の情報社会における機密情報保護の重要性を認識し、個人情報保護及び情報セキュリティのマネジメントシステムの導入を検討していただきたい。
 

 
化学物質管理−高まる要望に応える

顧客から有害化学物質の不使用証明書を求められることが多くなってきていないでしょうか。 2006年7月からRoHS規制が施行されることに伴い、規制対象6物質を規制値以上含む電気・電子製品はEU市場に出すことができなくなりました。不使用証明書とは、材料・部品の供給業者が顧客に対して発行するもので、「納入品にはRoHS規制対象6物質を使用・含有していません」ということを証明した文書です。EU市場に製品を出す企業は、この不使用証明書を材料や部品の供給業者に発行させることで、製品が規制適合品であることを担保します。 しかし、供給業者にしてみれば、不使用証明書を発行するためには納入品の調査や分析を行わなければならず、大きな負担が伴います。さらに、今回のRoHS規制は電気・電子製品が対象ですが、顧客によっては、生産設備にまで規制対象6物質を使用しないことを要求するケースもあります。 今日殆どの製品には化学物質が使用されており、いつこのような化学物質の管理を求められるか分かりません。たとえ、そうなったとしても柔軟な対応が出来るように、今から体系的な化学物質の管理体制を構築しておく必要があります。そこで、以下に、体系的な化学物質の管理体制を構築する上でのポイントを述べたいと思います。
●資材の選定
製品に化学物質がどれだけ含まれるかは資材に何を使用するかによって決まります。よって、まず顧客からの要求事項(使用禁止物質の種類、含有量の制限など)を明確にし、使用する資材の基準を定め、資材の調達先を決定する手順を定め、実施します。
●従業員教育
資材決定までの手順が決められていても、直接資材調達にあたる購買担当者、又は外注管理者に必要な知識がなければ手順の履行は困難となります。よって、当該業務を行うために必要な力量の基準を設け、その知識を保有させるための教育を実施し、認められた従業員のみを当該業務に当たらせます。
●計画的な削減や代替品への切り替え
経済的・技術的な理由により、直ちに顧客の要求事項を満たすことが出来ない場合も考えられます。そういった場合においても、化学物質の削減や代替品への切り替えに向けて中長期的な計画を策定し実施していくことが重要です。
 ここで挙げた3つのポイントはISO9001やISO14001の要求事項にも関連するものであり、構築済みのマネジメントシステムに沿って対応することが可能です。また、今回のRoHS規制を契機に、「ISO14001などの第三者認証を取得した供給業者とのみ取引する」といった方針を打ち出した企業もあり、管理体制の構築がいかに重要であるかが分かります。 今後、どのような規制又は顧客要求事項が出てくるかは分かりませんが、管理体制が有るか無いかでそれへの対処は大きく変ってきます。自社にかかる負担やリスクを極力少なくするためにも、今から準備を整えておくことをお勧めします。
 

 
システムの統合化に本気で取り組む−総合マネジメントシステム

2005年のISOを取り巻く状況を振り返るとISO9001とISO14001のダブル取得が一般的になった感がある。さらにプライバシーマークに代表される情報セキュリティマネジメントシステム認証の取得増も顕著である。このような状況の中で、複数のマネジメントシステムを個別に導入・運用し、経営
の障害となっているケースも多い。一つの企業で複数のマネジメントシステムを個別に運用することは、効率の低下を招き、結果として過剰な運用コストにより企業の経営を圧迫し競争力を低下させてしまう可能性がある。そこで弊社では、複数のマネジメントシステムを個別に運用するのではなく、単一の統合マネジメントシステム(Integrated Management System = IMS)への移行を提案している。弊社が提案する統合マネジメントシステムによって、以下のメリットが得られる。
@各規格が持っている重複部分の無駄を解消し、効率的運用を可能にする。→維持管理コストの削減
A方針の統合化(活動の方向性を明確化)により、体系的な運用を可能にする。
B共通のマネジメントシステムとして明快な管理の仕組みを構築する。
C外部審査及び内部監査の統一により、コストの削減
また、弊社発行の統合マニュアルでは各条項を工夫し、PDCAサイクルの中で有機的な繋がりを持ったシステムを構成するようにしている。下記は目次の抜粋である。
4. 方針
5. 計画
5.1 環境側面とリスクの特定
5.2 法的及びその他の要求事項
5.3 目的・目標
5.4 実施計画
5.5 組織体制、役割、責任及び権限
6  実施及び運用
6.1 文書及びその管理
6.2 資源の運用管理
6.3 内部コミュニケーション
6.4 外部コミュニケーション
6.5 著しい環境側面に係る運用管理手順の確立
6.6 緊急事態への準備及び対応
6.7 供給者の管理  
 7  製品実現
7.1 製品実現の計画
7.2 製品に関連する要求事項の明確化及びレビュー
7.3 設計・開発
7.4 購買
7.5 製造及びサービス提供
8  点検
8.1 監視及び測定
8.2 順守評価
8.3 分析及び不適合の取扱い
8.4 内部監査
9  是正・予防措置
10 マネジメントレビュー
 MSの構築を進める上においてポイントになるのは、PDCAサイクルの枠組みの中でマネジメントシステムの各プロセスの位置付けを明確にし、有機的な繋がりを持たせることである。個々のプロセスの中身ばかりに目を奪われると統合化のメリットは得られない。
これからISOの認証取得を目指す企業ばかりでなく、既に複数のISOを認証取得した企業も、弊社の支援によってIMSの構築やIMSを視野に入れたマネジメントシステムの導入・見直しを行い、より多くのメリットを享受して頂ければ幸いである。
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  苦情発生!苦境をプラスに転じる!

経営に役立つ苦情処理プロセスの確立を目指す−
『顧客の要求する内容を把握し満足する製品やサービスを提供する』ことが売上げ向上の必須条件であり、各企業はそのために日々心血を注いでいる訳である。
では、「苦情」これは“顧客の要求を満足しない”ために発生する訳だがどのように考えれば良いのだろうか。
ISO9001の認証取得企業など品質マネジメントシステムを構築している企業では苦情処理プロセスの手順を決めている。しかし、その運用において根本的な再発防止策がとられないまま、おざなりな対応を行い、評価を落としていないだろうか。
苦情処理プロセスを通じて得た情報は、製品及びプロセスの改善をもたらすことができ、また苦情が適切に処理されれば、組織の評判を高め苦境をチャンスに変えることができる。そのためには各々の従業員が、決められた手順で、かつ問題点に応じた適切な方法で苦情を解決する処理プロセスの確立が必要である。
経営に役立つ苦情処理プロセスを実現するために、まずはマネジメント手法の導入を推奨したい。苦情処理プロセスに特化した方針・目標の設定、従業員の教育訓練、パフォーマンスの監視、内部監査、マネジメントレビューの実施である。当然これらの取組みは組織の品質マネジメントシステムの他のプロセスに関連付け、整合させることが望ましい。
苦情処理プロセスが効果的に機能しているか否かを判定するには、パフォーマンスの監視が必要だが、その要点を紹介しておく。多くの企業では、受け付けた苦情の件数や再発件数とその内容は監視しているであろうが、それらに加えて以下の監視と評価が望まれる。
《パフォーマンス監視基準(ISO10002引用)》
 ・苦情処理の責任が適切に割り当てられているか
 ・顧客と接する要員に、苦情をその場で解決する権限が与えられているか
 ・顧客と接する要員に、対応に関する自由裁量の限度が定められているか
 ・苦情処理を専門に扱う要員が任命されているか
 ・顧客と接する要員で、苦情処理の教育訓練を受けた者の割合
 ・苦情処理の教育訓練の実効性及び効率性
 ・苦情処理を改善するための、要員からの提案の数
 ・苦情処理に対する要員の取り組み姿勢
 ・苦情処理申立への対応に要した時間
 ・苦情申立者の満足度
上記の内容は、顧客の苦情に適切に対応するために必要な項目が主であるが、さらに苦情の分析や評価を行い、製品改善につなげるプロセスを加えることが望まれる。
苦情の発生をゼロにすることは難しい、そうであるならば上に示したように受け付けた苦情を自社のビジネスチャンスや利益とに還元できるよう経営システムの見直しと改善が強く望まれる。
 


企業の環境戦略にLCAを

「環境への負荷が少ない製品を!」――近頃、環境への負荷が少ない製品(いわゆるグリーン製品)を選択しようとする意識が消費者の間で定着してきている。グリーン製品をつくること、またその環境負荷の度合いを消費者に対して客観的な方法で伝えること―それが企業に求められた消費者からの課題である。こういった消費者のニーズに、企業は今後どのように応えていけばよいのか?
近年、そのツールとしてライフサイクルアセスメント(LCA)が注目されている。
 LCAとは何か?――ひと言でいえば「製品がライフサイクル(原材料調達から、製造、輸送、使用、廃棄されるすべての段階)にわたって環境へ与える負荷を定量的に求める手法」である。LCAを用いることで、例えば次のようなメリットが考えられる。
@自社製品の環境負荷がライフサイクルのどの段階で発生しているかを客観的・定量的に認識することが可能となる。
@の結果をもとに、環境負荷の少ない原材料への変更や製造プロセスの改善を行うなど効果的な環境対策が模索できる。
B新製品の企画、開発の意思決定を行う際の指針が得られる。
C消費者に客観的・定量的な情報が提供でき、コミュニケーションの促進が図られる。
このようにLCAを用いることで、企業は自社製品の環境負荷を定量的に評価できるだけでなく、より環境負荷の低減に資する製品を開発する手段を見出せる。また、その結果が定量的であるが故、 消費者に対して説得力のある情報を提供できるとともに、自社製品への信頼性が確保できるようになる。
 例えば、消費者に対して、ひと口で「この製品は従来の製品よりも環境にやさしいです。」と説明するよりも、 この製品は従来の製品よりも地球温暖化への影響が50%少なくてすみます。 」などと定量的に説明した方が明らかに説得力がある。このLCAはそれを可能にしてくれるのである。
 2000年5月に、政府や地方自治体等の行政機関にグリーン購入を促すグリーン購入法が公布された他、環境ラベル、環境報告書といった消費者に対する環境コミュニケーションツールが続々と増えてくるなど、企業が開発したグリーン製品をアピールできる機会が今ではとても多くなった。このコミュニケーションの対象は、一般市民だけではなく、民間企業や政府・地方自治体等の行政機関も含まれる。 つまり企業が提供するグリーン製品のLCAの結果が、そのまま販売機会の拡大につながることも大いに考えられるのである。
 LCAはいまや、国際的に共通な手法として確固たる地位を築きつつある。企業を取り巻く環境は変わり、LCAは、やってみる時代から、環境戦略の1つとして活用する時代になったのである。
言い換えるならば、LCAを活用することにより企業に最大限の効果をもたらす環境戦略が実現できるようになる。LCAの積極的な導入を強くお勧めしたい。(2004年第二号より)
―弊社では、LCAの導入を検討されている企業様に対し、効果的かつ効率的なLCAの実施が行えるような支援サービスを行っております。ご希望の方は弊社までご連絡ください。
 

 
本当の意味での廃棄物ゼロを目指して

近年、廃棄物対策は、廃棄物処理法やリサイクルに関する法律の制定や規制強化等の社会的な状況を背景に重要な課題となっている。また、ISO14001認証取得などをきっかけに、自社の廃棄物対策等の取組みを積極的に消費者や地域住民へアピールし、企業のイメージアップを図る企業が増えている。
しかし、審査やコンサルティングを通じた我々の経験によると、廃棄物対策の取組み内容とその効果を十分に評価し、有効な廃棄物対策とは何かを配慮した取り組みをしている事業者は少ない。
例えば、廃棄物対策として、廃棄物の「分別回収」や「リサイクル」を主な取り組みとしてあげている事業者がほとんどである。しかし、廃棄物の分別回収やリサイクルが「有効な廃棄物対策か」というと必ずしもそうでない。
先日あるシンポジウムで表彰されたD社は、「廃棄物ゼロを達成した」として自社の廃棄物対策を紹介した。具体的には、社内から排出された廃棄物を約50種類に分別し、それらを全てリサイクルするため、パトロール隊が一日数回ゴミ箱をチェックするなど、徹底した社員教育を行ったということだった。
このD社の例は、手間がかかりすぎるため、中小企業では参考にしにくい。また、たてまえはリサイクルという形であるが、廃棄物の処理を社外に委託しており、「廃棄物ゼロを達成した」という表現には疑問が残る。
このD社の例にみられるような、いわゆる出口対策は、対策を行う程、手間や費用がかかる。それにもかかわらず、多くの組織が取り組むのは、通常の作業工程を大幅に変える必要も無く、自分の仕事の範囲内で処理できるなど、身近で取り組み易いからである。
このような出口対策は、目の前にある廃棄物をリサイクルという名目を付けて処分しているだけにならないだろうか。また、廃棄物を排出する現場だけでなく、他の部署を巻き込んだ、よりメリットのある形で対策はできないか、検討する必要があるのではなかろうか。
その基本的な対策の一つは、廃棄物そのものの発生を抑制することである。つまり、上流部である作業工程の工夫や材料の変換等による発生抑制である。発生抑制は、エネルギー資源や資材の削減や作業効率の向上にもつながる。特に化学物質などの危険性の高いものを使用している場合は、その使用量を削減することが、廃棄物対策だけでなく、結果的に事業者の事業リスクの改善へと導く。
このように、これからの事業者には、作業工程の技術革新に積極的に取り組み、より本質的な対策へと取り組みを進化させていくとこが求められている。(2002年第四号より)
 

 
企業は、もっと魅力的なEMSの導入に取り組むべきだ

ISO14001(以下EMS)の認証取得は既に1万件を超え、中小企業に至るまでずいぶん普及してきた。
しかし最近、EMSの導入目的を曖昧にしたまま認証取得に取り組んで導入の効果を低下させ、EMS評価を低くしている企業が多いような気がしてならない。
本来、中小企業がEMSを構築する目的は、以下の2つであろう。
 @企業に係わる環境関連の社会的責任をまっとうする。
 A環境への取り組みを通じて、企業を更なる発展へと導く。
 @の「社会的責任の遂行」とは、社会の一員としての責任を果たすことであり、まず、法規制を守ることが求められよう。加えて環境事故や汚染物質の排出者によって社会が受ける迷惑を低減することであろう。
 Aの「企業を更なる発展に導く」とは、低燃費や低公害エンジンの開発のように、環境への取り組みが組織の発展にも寄与するものと考えればいい。
 AはEMSが経営のツールである限り、不可欠なものだが、あまり意識していない導入組織が多い。また、これは導入組織を支援するコンサルタン トの一部にも当てはまる。
 Aの意識がないままEMSを導入すると、企業にとって目に見えるメリットが少なく人的経済的な負担だけが増えたと感じることになる。
すなわち、これが比較的多くの企業がEMSの導入結果に低い評価をしている主要な原因の一つとなっている。
さらに、コンサルティングや審査、ヒアリング等を通じて感じられるのは、経営者や事務局、コンサルタントがEMSを十分理解していないことだ。理解していれば、環境事業リスクの回避低減や環境負荷の低減が自社の利益につながる側面に無意識でいるはずがない。
例えば、ジクロロメタンやトリクロロエチレンのような法規制対象でリスクの高い物質を年間数トンも環境に放出しながら、まったく問題意識を持たず、紙ごみの分別に優先的に取り組んでいるような企業も少なくない。また、技術部門や購買部門等の活動が、生産部門の活動以上に環境負荷を低減出来ることに気付いている企業も案外多くない。「自分たちが与えている環境への影響は、事務室で消費する電気や紙ごみの排出程度で、大したことはないし、関心もない」と考えている技術者や購買担当者も多い。
しかし、彼らが製品の設計図や部品の調達仕様書の詳細を決めることによって、製品や部品の環境負荷を大きく改善することができることを認識する必要がある。
私たちは、EMSの単なる環境への取り組みを超えた経営システムとしての側面をもっと認識し、企業に役立つシステムの構築に努める必要がある。それによって企業は、EMSの導入と運用にもっと大きな魅力を感じることになるだろう。(2003年第一号より)
 


 ISO認証取得を活かす−統合マネジメントシステムへのお誘い 

「ISO9001を今年中に2000年版に切り替えないといけないが、役に立たないのでやめたい」
「ISO9001とISO14001を取得しているが、OHSAS18001まで取得したら会社が潰れてしまう」
「ISOだけでなく、他の認証も取得していて、毎月何らかの審査が入って大変だ」
「ISO14001を取得したが、そのシステムが社内に浸透しない」
最近、こんな声がよく聞かれる。
ISOを取得して「経営体質を改善しよう!」というキャッチコピーをよく見聞きするが、それを享受できる企業は少ない。
どこに問題があるのだろうか?。
現在では、ISO9001(品質マネジメントシステム規格)及びISO14001(環境マネジメントシステム規格)に続き、下記のような様々なマネジメントシステム規格が発行、あるいは検討されている。
 ・労働安全衛生マネジメントシステム規格(OHSAS18001)
 ・情報セキュリティマネジメントシステム規格(BS7799,ISMS)
 ・苦情マネジメントシステム(BS8600,ISO10018)
経営上配慮すべき品質や環境などの側面は、従来企業があまり意識せずシステムの一部として取り組んで来た。しかし規格化されることによって経営活動の枠外で独立して運用されることがあり、これが大きな問題となっている。
つまりこれらのマネジメントシステムを個別に導入・運用し、経営の障害となっているケースも多い。ISO9001やISO14001の認証取得に迫られ、「既存の業務の進め方を無視する」、「各システム相互の関係を無視する」など、結果として役に立たないISO用の文書や記録を作成する羽目になっている話はよく聞かれる。
したがって、企業は、品質・環境を含めこれらのマネジメントシステムが経営活動と融合し、つまり有機的に機能することが強く求められてきている。
一つの企業で複数のマネジメントシステムを個別に運用することは、非常に効率が悪く、企業文化とのかい離、システム間の不整合、重複作業によるムダ、結果として過剰な運用上のコストによって、企業の経営を圧迫し、競争力を低下させてしまう可能性もある。
そこで弊社では、様々な経営上の側面を効率よく運用できる単一の統合マネジメントシステム(Integrated Management System=IMS)というコンセプトを提案している。
前述のいずれのマネジメントシステム規格も、P(Plan)-D(Do)-C(Check)-A(Action)サイクルを基礎としており、統一して運用できる要素が多く、統合化によるメリットが期待できる。
IMSのモデルも様々なものが提案されているが、私たちは、業務プロセスをベースにしてビジネスの全ての側面に対応した単一システムの構築をお勧めしている。このシステムモデルは、単に複数のマネジメントシステムの共通要素のみを部分的に統合したものでなく、単一のシステムの中で、選択したテーマ(品質、環境、労働安全衛生など)ごとに重点的に改善・管理すべき項目を特定した上で、システムを展開して行くものだ。
このシステムによって
 ・目標や計画が企業本来の事業計画に連動し、一貫する
 ・システム間の慣行や、知識、経験の共有が可能である
 ・新たにマネジメントすべき側面の追加が容易にできる
等のメリットが期待できる。
これからISOの認証取得を目指す企業ばかりでなく、既に複数のISOを認証取得した企業も、私たちの支援によってIMSの構築やIMSを視野に入れたマネジメントシステムの導入・見直しを行い、より多くのメリットを享受して頂ければ幸いである。(2003年第二号より)